学校における労働安全衛生法
 
「現代学校と人格発達―教育の危機か、教育学の危機か」窪島務(地歴社)
 
教師の健康破壊の実態からみて、健康を守ることは現在の教育運動の最も緊急性を持った課題である
 
次のような課題にただちに取り組むべきであろう
 
○  労働組合が、健康問題を最重要課題として位置づけ、あれこれの課題があることを理由にして、あとまわしにしないこと
 
○  安全衛生委員会をすべての職場につくり、その構成を民主的で公平なものとすること
 
○  小規模な職場にあっても「安全衛生推進者」を選任すること
 
○  市単位で教育委員会に選任の産業保健婦をおかせること
 
○  労働安全衛生法にある「事業者の責務」(教育委員会と校長)を明確にすること
 
○  「衛生管理者」と安全衛生委員会が職場で十分機能できるような体制をつくること
 
○  「健康管理医」は、必要な予算措置をとって専門的能力のある産業医を当て、十分な仕事ができるようにすること
 
○  健康診断は、法律どおり医師による健康診断として実施させること
 
○  十分な健康管理を実施するために、労働安全衛生法にあるように、労働者(教師)にたいする健康教育を行うこと
 
○  健康診断の結果にもとづいて、必要な業務の軽減、労働条件の改善など事後措置が実施されているかどうか、事業者の責任を明確にして点検を行うこと
 
○  検診項目を適正なものとすること
 
○  学校では出勤から学校を出るまで休憩がないというのは、労働環境として最悪の条件であり、かならず休憩を取ること
 
○  年休はかならず消化すること
 
○  休養室を職場におくこと
 
○  適宜、職員の健康調査を実施し、個々の教師の健康状態の個別性にも配慮した具体的な対策をとること
 
 
 教師が病気になったり、過労死をしたりするのは「事業者」である教育委員会と校長がその社会的責任をはたしていないことであるから、その責任を明確にすることが重要である。これらのことは、子どもの教育に必要な最低限のこととして、父母にも呼びかけ、教育条件、労働条件を根本的に改善する国民運動を展開することが重要である。それは、教師の健康問題であるだけでなく、究極的には子どもたちと父母の未来をあかるいものにすることの保障である。