一人からできる安全衛生活動
@ いのちと健康を守る活動をあなたから
病気がちな人が職場に増えた、途中で退職を考えている人が多い。こんな状態を何とかできないものかと考えている人もいると思います。職員が健康で生き生きとした職場に変えていくためには、学校に労働安全衛生法とそれに基づいた通達や指針を適用していくことが必要です。
ここでは、まず一人からできる安全衛生活動の一つの方法を考えてみましょう。もちろん、労働安全衛生はいろいろな人の力を借りて、組織的に行なっていくものですが、千里の道も一歩からです。巨大な一歩をまず踏み出してみましょう。
A まず、職場の仲間に声をかけましょう
忙しすぎて、お互いの様子がわからないということがあります。知らないうちに、職場の人が病気休暇に入っていたということもまれではなくなってきました。
まず廊下で会った人に声をかけてみましょう。「○○先生、元気?」が言いやすい。相手の様子を知っている場合は「風邪治ったの?」「腰の具合はどう?」と聞いてみましょう。言われた方は悪い気がしないもので、次の機会には相手から声をかけてくるかもしれもせんね。
「これぐらいは、やっているよ」ですか。なるほど。お互いに声をかけ合うことから、職場の共同性を取り戻していきましょう。
B 衛生推進者になりましょう
労働安全衛生法では、50人未満の小規模の学校でも衛生推進者を置かなければならないことになっています。職場の人の健康を守りたいと思っている人は、是非この役をやってみましょう。一日講習を受けると認定書をもらえます。(埼玉の場合、夏休みに入った7月の終わり頃に講習会が開かれています)その自治体で受講料などが補助されるかもしれません。聞いてもらってください。
講習で聞いてきたら、校長先生から衛生推進者として職員に紹介してもらうといいです。(法的には、氏名を掲示することになっています)講習内容のすべてについては、すぐには実施できないですが、自分の学校でできそうなことから手がけてみると良いでしょう。
C 職員の意見を聞きましょう
職員室の会話の中で「ここを改善したい」と思うことが出てくることがあります。「階段が滑ってあぶない」「蛍光灯がつきにくい」「朝早く来るのが何とかならないか」等。こんな話は愚痴話で消えてしまいますが、メモをしておくといいです。衛生推進者になった人は、仕事ですからアンケートを職員からとるのもいいです。
普段、学校内を歩いている時も、ここが危ない、ここを改善したいと思うことがあります。これもメモしておきましょう。職場巡視と言いますが、形にこだわらずにいろいろな機会を利用して見て回りましょう。日直で回ったときや、子どもと一緒に移動したときなど、「問題はないか」という視点で考えていると、意外と違う見方ができるものです。
D 学校長や養護教諭と相談しましょう
改善したい点がまとまりましたら、校長先生とお話をしましょう。養護の先生も職員の健康の面から参加してもらうと良いと思います。職員の意見を聞き、改善の先頭に立つのが校長先生の役割です。できないことは保留して、できることからすぐに取り組んでもらいましょう。
市への要望事項に入れてもらうもの、学校の予算の中でできるもの、校長先生の裁量で則実現できるものなど分けられると思います。
E 慣れてきたら枠を広げ話し合いましょう
ふだん協力的な人にも参加してもらいましょう。衛生推進者プラスアルファーでつくった組織を、労働基準監督署の人は「ミニ衛生委員会」と言ったりしていました。
軌道にのってきたら、この話し合いを学期に一回とか行事計画に入れるとかして、定期化・継続化したらいいと思います。
やがて、正式の提案をして、衛生委員会にしたいものです。提案には、簡単でも次のようなことを入れるといいでしょう。
(1)ねらい・・労働安全衛生法な基づき職員の健康を守り職場改善をしていく等
(2)話し合いの内容・・職場環境、健康、勤務条件、労働安全衛生の情報等
(3)回数・・学期に二回程度、教科部会の時間に開催等
(4)組織・・学年から一人選任等
F 一年間のまとめをしましょう
一年間たったら、その年のまとめをしておきましょう。今年実現したこと、来年度への課題、何年かかかって取り組むべきことなど分けて、来年度の人に手渡せるようにしておきましょう。
これがあると、来年度メンバーが多少変わっても、前年のレベルからすぐ始められます。忙しい職場で、会議を開くのも大変ですから、この前年度のまとめが非常に大切なことです。今年度のまとめ(例) (ア)施設・設備面 ◎階段の段差があぶない→改善 ◎休養室の整備→畳の部屋を女子休養室と明記 ●シャワー室の整備→予算的に困難。来年度市へ再び要望を出すこと。 (イ)勤務条件面 ◎長期勤務時間の振り替え簿→整備する。 △年休が取りやすい体制→自習への補充を明確にする。 ●行事等の精選→教育課程検討委員会で話し合う。 (ウ)健康面 ◎健康相談を受けやすく→放課後の時間、医師に来てもらう。機会を2回設ける。 ◎再検査の徹底→検査結果を聞くところまで義務免で取れることを周知すること。 |
G 市町村への要望を出しましょう
労安法に基づいた活動は、全市的になるとより力強いものになります。自治体としての施策を求めましょう。そうすれば、異動があったときでも次の学校で同じような体制をとれることになります。
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市として学校教職員の安全衛生規程をつくること
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安全衛生体制を市として整備すること
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同時に各学校にも衛生委員会等をつくること
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管理職や衛生責任者(衛生推進者など)、職員への衛生教育をすること
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労安法や諸通達などを学校に周知徹底すること等々
組合を通して、あるいは校長先生に言ってもらうなどして要望を出しましょう。自治体全体の衛生委員会の実現が一つのポイントです。
※EやFから取り組んでいるところもあります。あるいはGの自治体の衛生委員会がすでに制度かされている地域もあります。地域や職場の実態に合わせて実践していきましょう。